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June 05, 2007

日米同盟の「不都合な真実」

 米国の対アジア政策が劇的に変わりつつある。一つは対北朝鮮政策。この問題については西原正平和・安全保障研究所理事長が『諸君!』7月号で「ブッシュ政権<対北・及び腰外交>が止まらない」と題して、詳細に論じているので、そちらを是非ご一読いただきたい。そして今一つは対中政策である。米国は今、対中中国政策で関与政策か抑止政策の間を揺れている。
 対中関与政策は、中国との関係を強化することで米国の国益の確保をはかろうとする、一種の対中融和政策だ。他方抑止政策は中国に軍事的、政治的、経済的影響力の拡大を抑止する政策である。前者の政策は対日関係の見直しに、後者の政策は対日関係の強化にそれぞれ通ずる政策である。米国がこれまで取ってきた対北挑戦政策で抑止政策から関与政策へと大きく舵を切ったように、対中国政策でも関与政策に舵をきりつつある。その兆候が最近に顕著に現れてきた。
 第1に航空自衛隊が次期主力戦闘機として候補の一つに挙げているF22ラプターの対日輸出に米国が難色を見せている。理由は第1に最新軍事機密の拡散に対する懸念があること、第2に日本の機密保護体制に不安があること、そして第3に対中配慮である。すでに中国が、日本のF22ラプター輸入について懸念を表明している。米国の一部には中国の懸念に配慮して対日輸出に慎重な意見が出始めている。
 第2にミサイル・ディフェンスである。ゲーツ米国防長官がシンガポールで開催されたアジア安全保障会議で、米国のMDは中国のミサイルを標的にするものではなく、ならず者国家やテロ集団が対象だと明言した。たしかに現状では、アジアに配備されるMDは対北朝鮮のミサイルだ。しかし、防衛省、自衛隊も対北朝鮮のミサイルだけを標的にすることを想定していない。将来的にはあらゆる国のミサイルからの防衛を想定しているはずだ。さもなければ北朝鮮からのミサイル防衛だけに何兆円もの防衛費を使う意味がない。
 ブッシュ政権末期になって再び日米同盟体制が大きく揺らぎつつある。米国は、当然のことではあるが、自国の国益を優先して、対日よりも対中政策を優先し始めた。日本は、この「不都合な真実」に早く目を覚まし、独自の安全保障戦略を早急に策定する必要がある。 

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